水彩画のテクニック【プラス1の道具でできる技法13】
前回は、筆だけでできる
水彩画の技法について書きましたが、
今回は、プラス1の道具や材料を使い、
できることについてご紹介します。
遊びの要素が加わり、楽しくできるうえに
「一体どうやって描いたの?」と思われるような
効果が狙えます!
- お子さんとアートを楽しみたい
- 水彩画の表現の幅を増やしたい
といった場合に、ぜひ興味のあるものに
トライしてみていただけると
思わぬ発見があること間違いなしです。
Contents
塩
![塩を絵の具にふりかける](https://atelier-aiiro.com/wp-content/uploads/2024/01/painting-3812583_1280-1024x576.jpg)
これはとてもおもしろい技法です。
絵の具をたっぷりめに塗った上から、
文字通り、塩をぱらぱらとまくのです。
使う塩は、特別なものではなく、
キッチンにあるもので大丈夫です。
すると、絵の具が乾くにしたがって、塩の結晶の周りが
白っぽくモヤモヤとた模様になります。
絵の具の水が多すぎても、ただ粒が泳いでしまう?感じになるし、
水が少なすぎても、塩が溶けません。
また、塩の粒の大きさなどにより、
少し違う模様ができるかと思います。
加減は、お手持ちの材料で実際に
やってみて調節してください。
マスキング
![白抜きの花の絵](https://atelier-aiiro.com/wp-content/uploads/2024/01/watercolor-3521053_1280-768x1024.jpg)
これも、よく耳にする方法の1つかと思います。
画用紙をマスキング材料によりカバーしておき、
そこに絵の具がつかないようにする方法です。
マスキング液
![Winsor & Newton のマスキング液](https://atelier-aiiro.com/wp-content/uploads/2024/01/IMG_8165-1-696x1024.jpeg)
![ラバークリーナー](https://atelier-aiiro.com/wp-content/uploads/2024/01/IMG_8167-1.jpeg)
マスキング液はとても便利で楽しいので
水彩画のお好きな方は持っておいて
損はないかと思います。
- マスキング液を筆で画用紙に塗り、乾かす。
- 上から絵の具を塗り、乾かす。
- ゴム状になったマスキング液を、はがす。
はがしたところが白抜きになるので、
白をいかした表現にしたり
さらにこの上から
絵の具を重ねることもできます。
また、マスキング液をはがすための
「ラバークリーナー」という商品があります。
名前の通り、硬い消しゴムのようなもので、
紙にくっついているマスキング液を、
このラバーにくっつけるようにして取り除きます。
大きな面積でしたら、あったほうが便利ですが
小さな作品だったら、指でやさしくこするようにしても
マスキングははがれます。
マスキングテープ
![マスキングテープ](https://atelier-aiiro.com/wp-content/uploads/2024/01/IMG_8168-1-699x1024.jpeg)
最近よく見る柄付きのマスキングテープ、
こちらの用途が元々です。
絵の具を塗りたくないところに
マスキングテープを貼り、カバーをする方法。
見ての通り、テープは幅があり、直線的になるので
ある程度作品の大きさがある場合や、
地平線などをまっすぐカバーしたい場合に向いています。
また、マスキングテープは
思ったより接着力が強い場合が。
勢いよくテープををはがすと
紙の表面が破れてしまうので、注意です。
スパッタリング
これも水彩画らしく、人気の技法ですね。
絵の具を散らすやり方です。
いくつかの方法があり
それぞれに違う効果が出ます。
- 筆先をはじく
![筆の先ではじく](https://atelier-aiiro.com/wp-content/uploads/2024/01/IMG_8054-768x1024.jpeg)
水彩画の筆のうち、穂の材料にコシのある筆ならできます。
絵の具をつけた筆を、指でつまんで
毛が戻る勢いで絵の具が散るようにします。
- 指などにトントンと叩きつける
![スパッタリング](https://atelier-aiiro.com/wp-content/uploads/2024/01/IMG_8037-edited-scaled.jpeg)
これも、多少コシのある筆のほうがやりやすいでしょう。
絵の具をたっぷりつけた筆を、
他の筆や、反対の手の指にトントンと当てて
絵の具を飛ばします。
絵の具の量や、叩く強さで
できる模様が少し違ってきます。
- 金網と歯ブラシで
![型紙をあててステンシルもできる](https://atelier-aiiro.com/wp-content/uploads/2024/01/IMG_8028-edited-1-scaled.jpeg)
この方法は、比較的細かな模様ができます。
歯ブラシにつけた絵の具を、
金網にこすりつけて絵の具を散らします。
専用の網がない場合には
茶こしや、目の細かいザル、ふるいなどでも代用できます。
ハブラシ
![色々なものを筆にして描く](https://atelier-aiiro.com/wp-content/uploads/2024/01/IMG_8041-edited-1-scaled-e1705783998359-1024x709.jpeg)
歯ブラシは、筆のようにも使えます。
絵の具を付けて画面にこすりつけると
ワイルドな模様ができる!
歯ブラシ以外にも、
筆以外のものに絵の具をつけで描くことで
いろいろな質感ができそうです。
クレヨンで弾かせる
![クレヨンの上に絵の具](https://atelier-aiiro.com/wp-content/uploads/2024/01/IMG_8039-edited-1-scaled.jpeg)
小さいころなど、誰もが一度はやったことがあるのでは。
お子さんでも楽しめて、見栄えのするテクニックです。
クレヨンの「ろう」が、
絵の具の水をはじくことを利用します。
スタンピング
![梱包材などをスタンプに](https://atelier-aiiro.com/wp-content/uploads/2024/01/IMG_8033-scaled-e1705784077266-1024x904.jpeg)
![使えるものを探してみよう](https://atelier-aiiro.com/wp-content/uploads/2024/01/IMG_8035-1024x768.jpeg)
スタンピングは、様々な材料でたくさん楽しめる方法です。
何かの材料に絵の具をつけて、
画用紙に押し付けることで、模様を写し出します。
例えば…
- 段ボールの中のなみなみ
- ガーゼなどの布
- 紙をくしゃくしゃにして
- スポンジ
- 野菜の断面
などなど、様々な材料があります。
それぞれの形や模様をいかした
作品のアイディアが生まれそうです!
ひも
![ひもや糸を垂らして](https://atelier-aiiro.com/wp-content/uploads/2024/02/IMG_8297-edited-1-scaled.jpeg)
ウォッシュの上から、
絵の具を染み込ませたひもや糸をたらしてみましょう。
この写真は、刺繡糸を使っています。
半乾き~乾いたら、糸を取り除くと、
面白いテクスチャーができます!
少しノスタルジックな感じですね。
もっと淡い感じにもつくれます。
ガーゼ
![ガーゼの跡をつける](https://atelier-aiiro.com/wp-content/uploads/2024/02/IMG_8294-edited-1-scaled.jpeg)
上の「ひも」と同じく、
紙に広く、薄めの絵の具を塗った上から、
絵の具を染み込ませたガーゼを置いて、乾かします。
ガーゼの場合、ひもよりも沢山の
絵の具を吸ってしまうので、
最初の絵の具は少し多めに塗っておいたり、
ガーゼ自体をパレットで絵の具に
しっかり浸したりするとよいです。
また、完全に乾かしてからガーゼを取り除くと
絵の具の接着力でガーゼが張り付き
紙を痛めてしまう場合があるので、
半乾きくらいで取り除くのがベストです。
(絵の具の濃さにもよります)
上の写真では、下地が黄色、ガーゼが青や緑と
差の大きい色を使ったので
模様がくっきりと出ましたが、
紙もガーゼも同じ色同士だと、もう少し淡くて、
テクスチャーといった感じに使えます。
ここまで色の差をつけると、
版画のような雰囲気になっていますね。
デカルコマニー
![デカルコマニー](https://atelier-aiiro.com/wp-content/uploads/2024/01/IMG_8030-edited-1-scaled.jpeg)
絵の具で模様を紙に描き、
二つ折りにして、反対側にも模様を写す
という方法です。
思わぬ形がうまれ、そこから作品の発想になりそう。
タコ糸ひっぱり
![タコ糸ひっぱり](https://atelier-aiiro.com/wp-content/uploads/2024/01/IMG_8036-scaled-e1705784373354-1024x822.jpeg)
タコ糸に絵の具を付けたら
二つ折りにした画用紙にはさんで、
タコ糸を端から引っ張ります。
面白い模様!
ビー玉
![ビー玉に絵の具をつけて](https://atelier-aiiro.com/wp-content/uploads/2024/01/IMG_8038-scaled-e1705784448293-1024x868.jpeg)
ビー玉に絵の具をつけて
箱などの中に置いた画用紙の上で
転がします。
Tips
このあたりの技法は、
失敗できない作品のうえでやる!よりは、
いくつか試してみて、
気に入ったものに描き足して作品にしたり、
切り貼りしてコラージュのようにしたり
といった方法が向いていそうです。
泡もよう
![泡のもよう](https://atelier-aiiro.com/wp-content/uploads/2024/02/IMG_8300-edited-1-scaled.jpeg)
![濃い目に出た泡のもよう](https://atelier-aiiro.com/wp-content/uploads/2024/02/IMG_8301-edited-scaled.jpeg)
コップの中に絵の具と食器用洗剤、少量の水を入れ、
ストローで吹いて色の泡をつくります。
紙に泡を当てて写し取ったり、
スプーンで泡をすくって紙に乗せると
泡の涼しげな模様がつくれます!
海や、ドリーミーな表現にいかがでしょう。
ストローで吹く
![ストローで吹く](https://atelier-aiiro.com/wp-content/uploads/2024/01/IMG_8031-768x1024.jpeg)
筆でたっぷりの絵の具だまりをつくり、
ストローで吹いて模様をつくります。
さいごに
今回ご紹介した、プラス1の道具や材料でできる
絵の具テクニックでは、
楽しいうえに、「どうやったの?!」と思われるような
おもしろい模様ができます。
シンプルなようでいて、
無限に広がる水彩画の世界。
興味を持ったものから、どんどんお試ししてみてくださいね。